多様な正社員

多様な正社員とは

 いわゆる正社員と非正規雇用の労働者との働き方の二極化を緩和し、労働者一人ひとりのワーク・ライフ・バランスと、企業による優秀な人材の確保や定着を同時に可能とするような、労使双方にとって望ましい多元的な働き方の実現が求められています。そうした働き方や雇用の在り方の一つとして、職務、勤務地、労働時間を限定した「多様な正社員」の普及を図ることが重要となってきています。
 こうした中、厚生労働省においては、「多様な正社員」の採用から退職に至る雇用管理をめぐる様々な課題への対応を検討し、有識者による懇談会において議論を重ね、平成26 年7月30 日に労使等関係者が参照することができる「雇用管理上の留意事項」を公表しました。
 「多様な正社員」が、労使双方にとってより良いものとなるよう、雇用管理上の留意事項や企業での活用事例を周知し、普及を図っています。

 多様な正社員とは、いわゆる正社員(従来の正社員)と比べ、配置転換や転勤、仕事内容や勤務時間などの範囲が限定されている正社員のことを指します。

 具体的には                                                             

 ◆ 勤務地限定正社員:転勤するエリアが限定されていたり、転居を伴う転勤がなかったり、あるいは転勤が 一切ない正社員

 ◆ 職務限定正社員:担当する職務内容や仕事の範囲が他の業務と明確に区別され、限定されている正社員

 ◆ 勤務時間限定正社員:所定労働時間がフルタイムではない、あるいは残業が免除されている正社員

 ◆ いわゆる正社員:勤務地、職務、勤務時間がいずれも限定されていない正社員

出所)厚生労働省 『勤務地などを限定した「多様な正社員」の円滑な導入・運用に向けて』パンフレット及びリーフレット等より抜粋

多様な正社員の活用を推進する意義

育児・介護との両立、高齢や傷病による健康上の理由等、様々な理由により上記の『いわゆる正社員』として働くことが難しい労働者は多数存在しています。高度経済成長期であれば、転勤や長時間労働にも耐え得る人材を採用することに困難な状況はありませんでした。しかし、少子高齢化が進展している現代においては、そうした限定のない人材を安定的に雇用することは難しくなっています。また、仕事と私生活に対する考え方も多様になり、ワークライフバランスの調和を求める層が増えてきています。

オフィス本間では、女性・高年齢者・障害者等、多様な人材を活用する企業のサポートを行っていきたいと考えています。そのため、多様な正社員の中でも、育児や介護等の事情で転勤や長時間労働が難しい労働者を対象とした、勤務地限定正社員及び勤務時間限定正社員について検討していきます。

              多様な正社員への転換制度

 出所) 厚生労働省 『勤務地などを限定した「多様な正社員」の円滑な導入・運用に向けて』リーフレットより 

育児や介護等の事情は、時間の経過とともに状況が変化していきます。育児のために非正規社員として限定的な働き方をしていた労働者が、多様な正社員やいわゆる正社員として働くことを望んだ場合や、いわゆる正社員だった労働者が一時的に多様な正社員になるなど、転換制度を利用して柔軟な働き方を可能にすることは、上記のように企業にとって優秀な人材を確保するための手段となります。また、労働者にとっても、雇用の安定やキャリアアップ、ワーク・ライフ・バランスの実現等のメリットがあります。

転換制度を利用した場合に注意するポイントは、賃金や昇進・昇格等、その後の処遇に不均衡を生じさせないようにすることです。転換制度を利用しても、公平な人事評価を行うことで、転換制度の利用を促進し、働くことへのモチベーションを維持することが可能となります。せっかく制度を整えても、利用する労働者がいないのであれば意味がありません。

多様な正社員制度の課題

医療・福祉業の場合、シフト管理や夜勤があるため、勤務時間限定正社員が職場に増えるといわゆる正社員に負担がかかったり、シフト調整が煩雑になる等の課題が挙げられます。厚生労働省がまとめた『企業における「多様な正社員」活用の事例集』によれば、夜勤手当のアップ、夜勤専従短時間正職員の配置、短時間正職員の他部署異動等の対応が取られているとのことで、いわゆる正社員への負担が重くならないような工夫が必要になってきます。

まとめ

育児・介護との両立が難しく、離職してしまった後、希望する職種や働き方を諦めざるを得ない人達が再挑戦できる環境づくりが大切です。人手不足を解消するためにも、多様な正社員の設計・導入・運用について、労使がしっかりとコミュニケーションを図り、その活用を推進していく必要があると思います。